うちのエルサはアスペルガー

我が家のエルサ(長女10才、アスペルガー)の日々と私がアスペルガーや発達障害について学んだことなどを綴ります。

「うちのエルサのマイ・ルール」世界自閉症啓発デーに寄せて

昨年もこの企画の存在は知っていたものの、3/26に第三子を出産していたため、参加出来ませんでした。だから今年こそ!!と息巻いて参加させていただいている次第です。

nanaio.hatenablog.com

はじめましての方のために、簡単に自己紹介を。
私は娘エルサ(9歳)自閉症スペクトラムアスペルガー)診断有り、とその妹アナ(8歳)未診断ですがADHDの気質あり、末っ子弟オラフ(1歳)の3人を育てています。私自身も今までの人生、過集中と物忘れの繰り返しで生きてきており、娘のことで色々と調べていくうちに私も発達障害だったのではないか、と思っています。
エルサの障害、自閉症スペクトラムは…自閉症、と聞くといわゆるカナー症候群(知的障害を伴うもの)やサヴァン症候群(ものすごく突出した才能、暗記力や絵画音楽など)を思い浮かべる方も多いかと思いますが、エルサの障害はそういったものではありません。おそらくエルサのことを初めてお会いした方が発達障害だと見ぬくのは至難の業だと思います。クラスの友達もほとんどの子が気がついていないかもしれません。彼女は受動型アスペルガーというもので、一見ただのおとなしい子です。ですが、彼女も日常生活に困難を抱えているのです。

今回の企画のお題は「嬉しかった配慮とありがとうの気持ち」

うちのエルサの学童でのお話です。
うちの学童の近くには公園があります。
ある日エルサはお友達数人と一輪車に乗ってその公園に行き
少し一輪車で遊んでいると、みんなが「鬼ごっこしようよ!」となり
エルサはその一輪車をジャングルジムに置いて、鬼ごっこをしていました。その間、1年生がその一輪車を借りていたことをエルサは気がついていませんでした。学童に戻る時間になり、いざ帰ろうとすると一輪車はサドルが低くなっており、エルサは暑くなってしまって脱いだ上着と、サドルが低くて乗れない一輪車を抱えて歩いているうちに、パニックになり泣き出してしまったのだそうです。

ルールは曲げられない!急には曲がれない!
エルサはアスペルガーの特性で「柔軟に変更が出来ない」という性質があります。
今回のケース、エルサ内ルールでは
「最後に使った人が片付けるべき」というものでした。学校でも学童(室内)でもそのルールなんだそう。エルサにとっては何故そのルールが学童(屋外あそび)の時だけ変更されるのか納得がいかないのです。そこに指導員のA先生が「持ってきたんだから、片付ければいいじゃない、相手は1年生なんだし、泣くことじゃないでしょ」と言ったのでエルサはパニックに。最後に使った人が片付けなかったのに、何故私が怒られるの、と。エルサの頭のなかでは、一輪車がジャングルジムのところに置いてあるのを帰ろうとして初めて再度認識して「あ、あれに乗って帰ろう」って思ったんだと思います。それがサドルが低くなってて乗れない、急がないとみんなが帰って行ってしまっている、という状況は、「乗って帰ろう」という気持ちから、気持ちの急な変更も求められていることになるのです。

こういうことは、他にもあって、ある日エルサが学童に登室する前にエルサのロッカーに他の子がふざけて入っていたんだそう。それをまた別の子がエルサが来るなり「さっき〇〇がエルサのロッカーに入ってたよー」と言うと、エルサは「汚いからランドセルが入れられない」そう言って、固まってしまったのだそうです。そこで指導員のB先生が「気になるなら雑巾で拭いたら?」と言ったらパニックに。
このケース、エルサ内ルールでは、
机の上に足で乗る→汚い=ロッカーの中に足で入る→汚い
机の上に足で乗る→悪いことなので乗った人が机を拭く=ロッカーに足で入る→悪いことだからロッカーに入った人が拭く
であるべき、だったのです。なのに、自分が気にしすぎのように言われ、しかもロッカーに入った人ではなく私が拭くの!?となってしまったのでしょう。

上記赤字のエルサルールは、おうちに帰ってきてから落ち着いた状態で私がエルサから聞き出したものです。後日、指導員さんにそのことを話すと、片付けのルールは「持ってきた人と、途中で使った人で相談して片付けのことまで最初に決める」ということにし、全員に周知してくださったそう。ロッカーの件はエルサ本人に「気持ちが分からなくてごめんね」と言ってくれました。エルサにも私から「あなたのルールがまわりの人みんなが同じように思ったり、知ってるルールでは無いんだよ。エルサのルールがいつも絶対正しい、ということじゃなくて色々な考え方の人がいるんだよ」と言いました。これはいつも言っていることでその時は本人も納得するのですが、脳の機能障害であるため、そう簡単に色んな場面でこのことを思い出して当てはめることは出来ません。

こう書くと、、、「発達障害の奴はめんどくせーな!!」と思われることでしょう。一見普通なんでしょ、普通の感覚で接して、どこに地雷があるか分かんないじゃ怖くて近寄れない。そう思われてしまうかもしれません。

まずは知ってもらうことから

この間配られた学童のお手紙の中に指導員さん達がお休みの日に色々な研修を受けにいき、その報告のレポートが入っていました。そこにエルサの担当の指導員さんの名前があり受講した研修テーマが「発達障害児の保育について」。数ある研修の中から、このテーマを選んでくれたこと、それがものすごく嬉しかったんです。正直、エルサが居ることで面倒くさいことはたくさんあると思います。それでも、もっとエルサのことを知ろうとしてくれていること、それが凄く嬉しかった。心から、指導員のN先生にはありがとうと言いたいです。

母親の私でも、しょっちゅう上の太字のようなエルサの地雷ワードを踏んでしまいます。それが先生や友達だとしても、赤の他人が気をつけられるものではないと思うんです。なので、まずは知ってほしいです。

小さなことや言葉にこだわって、癇癪を起こしたり泣いたりしても、それがワガママなのでは無く本人にもコントロール出来ないことなのだということを。

エルサのような小学生だけでなく、小さい子でもそうです。小さいうちは尚更癇癪を起こします。うちのエルサもそうでした。 

uchinoelsa.hatenablog.com

(その1と書いておきながらその2を書かずに1年以上経ってるw)
その癇癪を起こしている子に「親は何やってんだよ、怒れよ!躾出来ないなら産むなよ」みたいに眉をひそめないで欲しい。過去記事にあるように「片親だから情緒不安定なのね」と決めつけないで欲しい。これはうちのエルサの場合ですが、定型発達の子の「怒られるから、やらないようにする」っていうのが、出来ないのです。「怒られる」=「敵意、嫌われている」と捉えてしまい、行動の改善には繋がらないのです。むしろ怒られることを注目と捉えてしまい、問題行動が加速する子もいます。

発達障害の特性は人によって違うので、共通の配慮というのは難しいと思います。なので、色々な子(大人の方も)がいる、ということを知ってもらえたら、と思って今回記事を書きました。私は「うちのエルサのマイ・ルールを理解して!配慮して!」とは毛頭思っていません。ただ、うちのエルサがルールを曲げられないということは、本人にもコントロール出来ないことで、コントロール出来るよう練習中だということだけでも知っておいてもらえたら。

でもまず、あなたがうちのエルサを理解しようと思ってくれること、そのこと自体が当事者の親である私はすごく嬉しいです。ありがとう。

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 私もまだまだ勉強中。↑これはとっても役に立った。ノート取りながら読みました。